2009年11月20日
氷川清話より

必ずこれのみと判断するな
主義といひ、道といつて、必ずこれのみと判断するのは、おれは昔から好まない。単に道とい
つても、道には大小厚薄濃淡の差がある。しかるにその一を揚げて他を排斥するのは、おれの取
らないところだ。人が来て囂々とおれを責める時には、おれはさうだらうと答へておいて争はな
い。そして後から精密に考へてその大小を比較し、この上にも更に上があるだらうと想うと、実
に愉快で堪へられない。もしわが守るところが大道であるなら、他の小道は小道として放つてお
けばよいではないか。智慧の研究は、棺の蓋をするときに終るのだ。かういう考へを始終持つて
ゐると実に面白いヨ。
勝海舟 「氷川清話」より
高校の担任の先生は現国担当で、よく本を読んでくれた。
志賀直哉の「小僧の神様」は、特に印象的で
粋な寿司の食い方なんて、ここから学んだような気もする。
そんな時、恐らくクラスの全員に買わせたのがこの本だった。
当時は何か難しいばっかりであまり手にもしなかったと思うが、
何年かして、幾度も読み返している。
思いついたときに、パラパラめくったページを読むような感じで・・。