2011年09月29日
これからのイチロー
矢沢 イチローさん、どうですか?毎年、毎年すごい記録残しても、毎年、毎年が新たな勝負、いましかない。いまで評価されちゃうわけじゃないですか。
イチロー そうですよね、僕らの世界もやっぱり、形に関しても、「これでいい」というものがないんですよね。たとえ同じ結果だとしても、結果を出すためのプロセスは絶対に違うし、その形も絶対違う。肉体的にも変わってくる、精神的にも変わってくる。形は同じに見えても、そこで表現されるものが、全然違うものだったりするんですよね。だから、だから、形にしても「これでいい」という最高のものを見つけたい。常に探し求めていたい。
矢沢 うん、うん。
イチロー 「これでいい」と思えるものを見つける。たしかに、その瞬間は「いまは、これでいい」って思うんです。でも、一週間後には、また変わってくる。「これでいい」と思っていたものが「いい」とは思えなくなってくる。それで、今度は「もっと、いい」ものをまた探し求めなくてはならない。この繰り返しなんですよね。でも、この探し求める、ということが面白いし。これが、野球を続けられるモチベーションなんですよね。
矢沢 わかります。
イチロー 終わりなんてないってことですよね。しかも、バッティングっていうのは、10回やって3回成功すれば、うまくいった、一流だと言われる世界。つまりは7回は失敗できる。これが9割、つまりは10回やって9回打たなくてはいけない世界だと、かなり苦しいですよ。1回しか失敗できないわけですから。でも、7回失敗できるということが、僕らの救いではあるんですよ。この7回の失敗の中に、いろんな可能性が含まれている。それをこれからも探し求めていきたいと思っています。そういう心構えがあれば、おそらく野球が好きだっていう、気持ちが薄れることはないと思うんです。
矢沢 なるほどね。
イチロー ここまで野球が好きでいられるってことは、おそらくこれから先も、その気持ちは薄れないと思うんですよね。もしどこかで揺らいでいる自分がいたとしたら、もう、僕は終わっていたはずです。でも、今日現在まで続けて来られているんで。その野球が好きだっていう気持ちをこれからも大切にしていきたい。いつまでも子どものような気持ちで野球に向かっていけたら、サイコーですね(笑)。ハハハハハ。
イチロー×矢沢永吉 英雄の哲学 より
5年前の、この奇跡とも言える対談で語っているイチローの言葉を信じる。
50歳まで現役でやれる、というイチローの言葉を信じる。
来年からの新しいイチローの活躍を信じて疑わないのである。
Posted by kaz at 22:51│Comments(0)
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